【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
35.イベント当日(3)
(ああ、どうしてあんなことをしてしまったのかしら……)
ブースに戻り、一人頭が冷めてから、ラルカは自分の振る舞いを大いに反省した。
人前であんな――――頬にキスをするだなんて。
少し前までのラルカならとても考えられなかった。
自分では良識のある方だと認識していたというのに、恋は人をこうも変えてしまうのだろうか?
火照った頬を仰ぎつつ、ラルカは一人百面相をする。
きっと今頃、エルミラはお腹を抱えて笑っていることだろう。
ブラントは頬を真っ赤に染めていたし、ラルカと同じように恥ずかしさで悶絶しているかもしれない。
しばらくの間は、同僚たちからも大いにからかわれることだろう。
(だけど、それでも、どうしてもブラントさまを盗られたくなかったんだもの)
イベントに来ているのは平民だけではない。
エルミラとアミルが主催のイベントとあって、高位貴族の令嬢たちも多く訪れているのだ。
二人の婚約が知れ渡っているといっても、せいぜい騎士や文官を務めている者たちの間だけ。少しぐらい、牽制したくなるというもの。
(ダメだわ。これじゃ独占欲丸出しじゃない)
首を横に振りつつ、ラルカは熱い息を吐き出す。
早く平静を取り戻さなければ――――そう思ったその時だった。
ブースに戻り、一人頭が冷めてから、ラルカは自分の振る舞いを大いに反省した。
人前であんな――――頬にキスをするだなんて。
少し前までのラルカならとても考えられなかった。
自分では良識のある方だと認識していたというのに、恋は人をこうも変えてしまうのだろうか?
火照った頬を仰ぎつつ、ラルカは一人百面相をする。
きっと今頃、エルミラはお腹を抱えて笑っていることだろう。
ブラントは頬を真っ赤に染めていたし、ラルカと同じように恥ずかしさで悶絶しているかもしれない。
しばらくの間は、同僚たちからも大いにからかわれることだろう。
(だけど、それでも、どうしてもブラントさまを盗られたくなかったんだもの)
イベントに来ているのは平民だけではない。
エルミラとアミルが主催のイベントとあって、高位貴族の令嬢たちも多く訪れているのだ。
二人の婚約が知れ渡っているといっても、せいぜい騎士や文官を務めている者たちの間だけ。少しぐらい、牽制したくなるというもの。
(ダメだわ。これじゃ独占欲丸出しじゃない)
首を横に振りつつ、ラルカは熱い息を吐き出す。
早く平静を取り戻さなければ――――そう思ったその時だった。