【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「ええ! 痩せて、少し大人っぽくなったのかしら? 幼い頃の貴女も可愛かったけれど、大人になったらまた別の可愛さがあるわね!」
メイシュはそう言って、ラルカの両頬を包み込んだ。
以前ならば、全くもって素直に受け入れられなかった賛辞だが、今はほんの少しだけ気分が違う。
最近のラルカは、同僚や騎士たちからも褒められることが増えた。
元々、美人と評判だったが、輪をかけて美しくなったと――――ブラントの影響が大きいのだろうと、もっぱらの噂だ。
たとえ相手がメイシュであっても、褒められて素直に嬉しいと思う。これもきっと、ブラントのおかげだろう。
「ありがとうございます、姉さま。
申し訳ございませんが、わたくしは仕事がありますので、そろそろ失礼いたします。
今日はどうか、楽しんでいってください」
「ええ。そうさせていただくわ。
また後で、ね」
メイシュの返答に、ラルカはそっと微笑む。
こんな穏やかな気持ちでメイシュの前に立てる日は、一生来ないと思っていた――――ラルカは胸を押さえつつ、ブースの中を見て回る。
ラルカの実態を知れば、メイシュはきっと、再び彼女を縛り付けようとするだろう。無理やり仕事を辞めさせ、ブラントとの婚約を破棄し、領地に連行して自分の支配下に置こうとするに違いない。
けれど、今のラルカはメイシュを跳ね除けられるだけの強さを持っている。
きっと大丈夫。
どんなことが起きても、怖くないと思えた。
メイシュはそう言って、ラルカの両頬を包み込んだ。
以前ならば、全くもって素直に受け入れられなかった賛辞だが、今はほんの少しだけ気分が違う。
最近のラルカは、同僚や騎士たちからも褒められることが増えた。
元々、美人と評判だったが、輪をかけて美しくなったと――――ブラントの影響が大きいのだろうと、もっぱらの噂だ。
たとえ相手がメイシュであっても、褒められて素直に嬉しいと思う。これもきっと、ブラントのおかげだろう。
「ありがとうございます、姉さま。
申し訳ございませんが、わたくしは仕事がありますので、そろそろ失礼いたします。
今日はどうか、楽しんでいってください」
「ええ。そうさせていただくわ。
また後で、ね」
メイシュの返答に、ラルカはそっと微笑む。
こんな穏やかな気持ちでメイシュの前に立てる日は、一生来ないと思っていた――――ラルカは胸を押さえつつ、ブースの中を見て回る。
ラルカの実態を知れば、メイシュはきっと、再び彼女を縛り付けようとするだろう。無理やり仕事を辞めさせ、ブラントとの婚約を破棄し、領地に連行して自分の支配下に置こうとするに違いない。
けれど、今のラルカはメイシュを跳ね除けられるだけの強さを持っている。
きっと大丈夫。
どんなことが起きても、怖くないと思えた。