【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
37.イベント当日(5)
「ねぇ、ラルカは一体何処に居るの⁉」
会場の隅でヒステリックな声が響き渡る。眉間にシワを寄せ、不機嫌であることを隠しもしない妙齢のその女性は、ラルカの姉であるメイシュだ。
「メイシュさま、どうか落ち着いてください」
「落ち着いてなんて居られないわ! 私の可愛いラルカが行方不明なのよ⁉ あぁ……やっぱりあの時、侍女なんて辞めさせていたら良かった。そしたら、こんなことにはならなかったのに……」
会場内を右往左往しながら、メイシュは全く聞く耳を持たない。
しかし、行方不明と言っても、ラルカの居場所が分からなくなって未だ三時間あまり。メイシュの中で、ラルカはまだ幼い子供のままなのだろう。
(とはいえ、僕だってラルカのことは心配だ)
報告によれば、ラルカは具合の悪くなった子供の様子を見に行ったらしい。未だもって帰ってきていないということは、そこで何らかのトラブルに巻き込まれてしまったのだろう。
責任感の強いラルカが、報告もなしに黙って長時間会場を離れるとは考えづらい。
対処に困れば通行人を使ってでも、騎士や他の文官を呼びに行かせるだろうし、一旦会場に戻ってくるはずだ。
それがないということは、余程の事情があるのだろう。
会場の隅でヒステリックな声が響き渡る。眉間にシワを寄せ、不機嫌であることを隠しもしない妙齢のその女性は、ラルカの姉であるメイシュだ。
「メイシュさま、どうか落ち着いてください」
「落ち着いてなんて居られないわ! 私の可愛いラルカが行方不明なのよ⁉ あぁ……やっぱりあの時、侍女なんて辞めさせていたら良かった。そしたら、こんなことにはならなかったのに……」
会場内を右往左往しながら、メイシュは全く聞く耳を持たない。
しかし、行方不明と言っても、ラルカの居場所が分からなくなって未だ三時間あまり。メイシュの中で、ラルカはまだ幼い子供のままなのだろう。
(とはいえ、僕だってラルカのことは心配だ)
報告によれば、ラルカは具合の悪くなった子供の様子を見に行ったらしい。未だもって帰ってきていないということは、そこで何らかのトラブルに巻き込まれてしまったのだろう。
責任感の強いラルカが、報告もなしに黙って長時間会場を離れるとは考えづらい。
対処に困れば通行人を使ってでも、騎士や他の文官を呼びに行かせるだろうし、一旦会場に戻ってくるはずだ。
それがないということは、余程の事情があるのだろう。