【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
ブラントとて本当は、自分自身でラルカを探しに行きたい。
けれど、イベントの成功はラルカの悲願だ。そのために、今日まで必死で頑張ってきた。
だから、大規模な捜索を行ってことを荒立てるわけには行かない。彼女はきっと、ブラントが持ち場を離れることすら望まないだろう。
ブラントがすべきことは、現場責任者の一人として、最後までこのイベントを成功に導くこと。
それこそが、ラルカの願いを叶えることに他ならない。
彼は腹立たしさを隠しつつ、メイシュに向かって微笑んだ。
「既に騎士たちが数人、捜索に向かっております。お姉さまはどうぞ、ご安心ください」
「数人⁉ たったの数人ですって⁉ そんな悠長なことで良い訳がないでしょう⁉ 私のラルカに何かあったらどうするのです⁉
大体、貴方はあの子の婚約者でしょう⁉ 本当は貴方自身が探すべきなんじゃありませんの⁉」
「…………」
たった数時間、誘拐声明の出ているわけでもない文官一人の捜索を行うこと自体、十分破格の扱いだ。
けれど、メイシュにとって大事なのは彼女自身の考えだ。ラルカの願いが何なのか、想像しろと言ったところで聞きはしないだろうし、何を言ったところで、メイシュには伝わらないだろう。しかし――――
けれど、イベントの成功はラルカの悲願だ。そのために、今日まで必死で頑張ってきた。
だから、大規模な捜索を行ってことを荒立てるわけには行かない。彼女はきっと、ブラントが持ち場を離れることすら望まないだろう。
ブラントがすべきことは、現場責任者の一人として、最後までこのイベントを成功に導くこと。
それこそが、ラルカの願いを叶えることに他ならない。
彼は腹立たしさを隠しつつ、メイシュに向かって微笑んだ。
「既に騎士たちが数人、捜索に向かっております。お姉さまはどうぞ、ご安心ください」
「数人⁉ たったの数人ですって⁉ そんな悠長なことで良い訳がないでしょう⁉ 私のラルカに何かあったらどうするのです⁉
大体、貴方はあの子の婚約者でしょう⁉ 本当は貴方自身が探すべきなんじゃありませんの⁉」
「…………」
たった数時間、誘拐声明の出ているわけでもない文官一人の捜索を行うこと自体、十分破格の扱いだ。
けれど、メイシュにとって大事なのは彼女自身の考えだ。ラルカの願いが何なのか、想像しろと言ったところで聞きはしないだろうし、何を言ったところで、メイシュには伝わらないだろう。しかし――――