【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「ラルカ……」
ブラントには直ぐに、彼女がどんな状況に置かれていたのか理解できた。
どんなに怖かっただろう?
本当は今すぐ抱きしめたい。けれど今、ラルカはそんなことを望んでいないだろう。
ブラントは気を引き締め、ラルカをじっと見つめる。ラルカは力強く頷いた。
「わたくしはこれから、この子達に着替えをさせます。ブラントさまには、エルミラさまとアミル殿下にこの状況を――――わたくしが今から何をしようとしているのか、お伝えいただきたいのです。できたら、少しだけ時間を稼いでいただけると嬉しいのですが……」
時間が惜しいのだろう。最低限の説明しかされていないが、ブラントにはそれで十分だった。
「承知しました。すぐに手配をしましょう。ラルカの着替えは?」
「ありがとうございます。わたくしの着替えについては、とっておきの一着を準備してありますので問題ございませんわ。元々、イベントの最後には、自分らしくありたいと思っていましたから」
ラルカはそう言って柔らかく微笑む。
(ああ、敵わないな……)
ブラントにとって、ラルカはどこまでも眩しく、輝いて見える。
この笑顔を、願いを護ることができるなら、ブラントはどんなことでもするだろう。
さて、最後の大仕事だ――――気合も新たに空を見上げれば、会場には、夜の帳が降り始めていた。
ブラントには直ぐに、彼女がどんな状況に置かれていたのか理解できた。
どんなに怖かっただろう?
本当は今すぐ抱きしめたい。けれど今、ラルカはそんなことを望んでいないだろう。
ブラントは気を引き締め、ラルカをじっと見つめる。ラルカは力強く頷いた。
「わたくしはこれから、この子達に着替えをさせます。ブラントさまには、エルミラさまとアミル殿下にこの状況を――――わたくしが今から何をしようとしているのか、お伝えいただきたいのです。できたら、少しだけ時間を稼いでいただけると嬉しいのですが……」
時間が惜しいのだろう。最低限の説明しかされていないが、ブラントにはそれで十分だった。
「承知しました。すぐに手配をしましょう。ラルカの着替えは?」
「ありがとうございます。わたくしの着替えについては、とっておきの一着を準備してありますので問題ございませんわ。元々、イベントの最後には、自分らしくありたいと思っていましたから」
ラルカはそう言って柔らかく微笑む。
(ああ、敵わないな……)
ブラントにとって、ラルカはどこまでも眩しく、輝いて見える。
この笑顔を、願いを護ることができるなら、ブラントはどんなことでもするだろう。
さて、最後の大仕事だ――――気合も新たに空を見上げれば、会場には、夜の帳が降り始めていた。