【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「――――このイベントで得た収益はすべて、子供たちのために活用させていただきます。
子供たちが温かいベッドでゆっくり眠るために。お腹がいっぱいになるまで食事をするために。清潔な衣服を着るために。新しいおもちゃや本を購入するために。
――――けれど私は、それだけでは足りないと思っています」
エルミラはそう言って、ゆっくりと静かに目を瞑る。彼女は子供たちと手を繋ぎながら、真っ直ぐに前を見据えた。
「本来ならば、衣食住が確保できることは当たり前のことです。
けれど、当たり前のことが当たり前に出来ていない――――事実、子供たちは飢えに苦しみ、楽しんでもらいたいと準備したイベントへの参加すら禁じられていた。私はそれが悲しくてならないのです」
元々はゼロを十にしたいと始めたイベントだった。
子供たちにより良い環境を提供したい。夢を与えたいとそう願って。
けれど、蓋を開けてみれば、孤児院の子供たちが置かれている環境はゼロですらない。マイナスだった。
壇上から孤児院の関係者を見下ろしつつ、エルミラは大きく息を吸う。
彼らは昼間、エルミラやアミルに擦り寄り、耳障りの良いことばかり口にしていた人間だ。
バレている――――彼らの顔は夜でも分かるほどに青褪めていった。
「まずは最低限の生活を誰もが送れるよう、私は全力を尽くします。
けれどいずれは、誰もが自由になりたい自分を目指せるような――――年齢も性別も家柄も関係なく、誰でも自由に夢が見れる――――そんな国にしていきたいと思います。……いいえ、絶対にしてみせます!」
子供たちが温かいベッドでゆっくり眠るために。お腹がいっぱいになるまで食事をするために。清潔な衣服を着るために。新しいおもちゃや本を購入するために。
――――けれど私は、それだけでは足りないと思っています」
エルミラはそう言って、ゆっくりと静かに目を瞑る。彼女は子供たちと手を繋ぎながら、真っ直ぐに前を見据えた。
「本来ならば、衣食住が確保できることは当たり前のことです。
けれど、当たり前のことが当たり前に出来ていない――――事実、子供たちは飢えに苦しみ、楽しんでもらいたいと準備したイベントへの参加すら禁じられていた。私はそれが悲しくてならないのです」
元々はゼロを十にしたいと始めたイベントだった。
子供たちにより良い環境を提供したい。夢を与えたいとそう願って。
けれど、蓋を開けてみれば、孤児院の子供たちが置かれている環境はゼロですらない。マイナスだった。
壇上から孤児院の関係者を見下ろしつつ、エルミラは大きく息を吸う。
彼らは昼間、エルミラやアミルに擦り寄り、耳障りの良いことばかり口にしていた人間だ。
バレている――――彼らの顔は夜でも分かるほどに青褪めていった。
「まずは最低限の生活を誰もが送れるよう、私は全力を尽くします。
けれどいずれは、誰もが自由になりたい自分を目指せるような――――年齢も性別も家柄も関係なく、誰でも自由に夢が見れる――――そんな国にしていきたいと思います。……いいえ、絶対にしてみせます!」