【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「転属願い?」

「ええ。わたくしは禄に現場を知らないまま、エルミラさまの側近になってしまいましたでしょう? ですから一度、エルミラさまから離れ、一文官として仕事を頑張りたいと思っているのです。そうすれば、いつか本当の意味で、エルミラさまの力になれるのではないかと……」


 ラルカは瞳を細めつつ、人々に向かって笑顔を振りまくエルミラを見つめる。

 制度や仕組みを本気で改革していくためには、今のままではダメだ。色んな場所に出向きながら、沢山の人と会い、話を聞いていく必要がある。執務室にこもって仕事をしていても、今日と同じことが繰り返されてしまうだろう。


(エルミラさまもきっと、許してくださるはずだわ)


 彼女の国を想う心は本物だ。ラルカが行かなければ、エルミラ自身が城を飛び出してしまいかねないぐらいの勢いなのだから。
 ラルカが現場を知り、エルミラの元に帰ることで、彼女の夢を実現するための手助けができることだろう。


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