【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
【番外編】
【番外編】ラルカの里帰り(前編)
ラルカとブラントは馬車に揺られていた。どちらともなく手をつなぎ、二人は穏やかに微笑み合っている。
「自然豊かないいところですね」
目の前に広がる美しいネモフィラの花畑を見つめながら、ブラントが感嘆のため息をもらす。ラルカはそっと目を細めた。
「ありがとうございます。ブラントさまにそう言っていただけてとても嬉しいです」
ギュッとつなぎ直される手のひら。ブラントの胸がトクンと高鳴った。
「……実は、こうして領地に帰ってくるのは仕事をはじめて以来初で、少しだけ緊張しているんです」
「そうだったのですか?」
ブラントがほんのりと目を見開く。ラルカはコクリとうなずいた。
「ええ。仕事が忙しくてまとまった休暇が取れない、という事情もありましたが……なにより姉さまがあんな感じだったでしょう? とにかく絶対に会いたくなくて、領地を避けていたのです」
困ったように笑いながら、ラルカは窓の外を見つめる。
「自然豊かないいところですね」
目の前に広がる美しいネモフィラの花畑を見つめながら、ブラントが感嘆のため息をもらす。ラルカはそっと目を細めた。
「ありがとうございます。ブラントさまにそう言っていただけてとても嬉しいです」
ギュッとつなぎ直される手のひら。ブラントの胸がトクンと高鳴った。
「……実は、こうして領地に帰ってくるのは仕事をはじめて以来初で、少しだけ緊張しているんです」
「そうだったのですか?」
ブラントがほんのりと目を見開く。ラルカはコクリとうなずいた。
「ええ。仕事が忙しくてまとまった休暇が取れない、という事情もありましたが……なにより姉さまがあんな感じだったでしょう? とにかく絶対に会いたくなくて、領地を避けていたのです」
困ったように笑いながら、ラルカは窓の外を見つめる。