【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
***


 屋敷に到着すると、ラルカの父親とメイシュの夫が二人を出迎えてくれた。


「久しぶりだね、ラルカ」

「ご無沙汰しております、お父さま、お義兄さま」


 数年ぶりの再会に、ラルカはとても嬉しそうに笑う。
 一方、ブラントの緊張は最高潮に達していた。愛する人の家族に会うのだ――当然である。


「お父さま、ご紹介させていただきます。わたくしの婚約者である、ブラント・ソルディレンさまです」

「はじめまして」


 ブラントはそう言って、深々と頭を下げた。心臓がドキドキと鳴り響いている。


(自分はどのように思われているのだろう?)


 気に入ってもらえるだろうか? 嫌われたりしないだろうか? ……顔をあげることがとても怖かった。


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