【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「姉さま、この度はご出産、おめでとうございます」


 ラルカがメイシュの側に向かう。
 メイシュの隣には小さな赤ん坊の姿があった。薄い青色の柔らかな産着。薄っすらと生えた髪の毛は、夫譲りのブラウンだ。まだ生まれたばかりのため、どこか肌色は赤っぽく、肉付きもそれほどよくはない。びっくりするほど小さな手のひらはギュッとかたく握られていて、触れるだけで壊れてしまいそうだった。


「可愛い……! 生まれたばかりの赤ちゃんって、こんなに小さいのですね」


 ラルカは瞳を輝かせつつ、赤ん坊のそばへと屈みこむ。メイシュはそっと微笑みながら、赤ん坊を抱き上げた。


「ええ。私もとても驚いたわ……だけど、こんなに小さくても、とても温かいし、心臓もトクトク鳴っているのよ?」


 慈愛に満ちた表情。ラルカは赤ん坊とメイシュとを交互に見つめながら、目頭が熱くなってくる。


「あの……抱っこしてみてもいいですか?」

「ええ、もちろん」


 メイシュはゆっくりとラルカに赤ん坊を渡した。おくるみに包まれているため、いくらかは抱きやすいはずなのだが、びっくりするほど軽いうえ頭も身体もふにゃふにゃで、ラルカはとても驚いてしまう。


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