【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜

7.顔合わせ

 それからほんの数日後のこと。
 ラルカはメイシュとともに、王都にあるソルディルン家の屋敷を訪れていた。


「素敵なお屋敷……!」


 ラルカはほぅと息を吐きつつ、屋敷を見渡す。

 まず二人を出迎えたのは、季節の花々が咲き誇る美しい庭園だ。小ぶりの花が彩り豊かに、寄り添うように植えられており、その愛らしさに心が踊る。大輪の花々が咲き誇るラプルペ家の庭園とは、趣が違っている。

 次いで見えてきた屋敷は、シンプルだが手入れが行き届いており、とても上品だ。真っ白な外壁に深い青色の屋根。デザインよりも質を重視しているのがうかがえる造りで、ソルディレン家の人々の穏やかで丁寧な暮らしぶりが伝わってきた。


(本邸に引けを取らない、立派な屋敷)


 ――――メイシュが重視する資産的な面も申し分ないようで、ラルカは密かに胸をなでおろす。


「本当に素敵ね。良いわぁ。これからこの屋敷が私の――――ラルカのものになるのね」


 うっとりと頬を染めつつ、メイシュが呟く。


(私の屋敷――――か)


 新しいドールハウスが増えた――――おそらくメイシュにとっては、そんな感覚なのだろう。ラルカはそっとため息を吐きつつ、メイシュを横目で見遣る。


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