【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
15.出勤
馬車に揺られ数分、ラルカ達は勤務先である城へと辿り着く。
まだ早朝だが、騎士や文官らが幾人も行き交う、平和でありきたりな風景。
けれど、車輌から降り立った二人を見て、彼等は目を丸くした。
「嘘だろう? ラルカ嬢がブラントと一緒に出勤⁉」
「婚約の噂は本当だったのか⁉」
「そんな! ソルディレンさまがっ」
王女エルミラの側近であるラルカと、王太子アミルの近衛騎士であるブラント。おまけに、二人揃って超のつく美形。当然ながら、皆の関心は高い。
驚くもの、悲しむもの、嘆くもの、単に噂話を楽しむもの。
大声こそ上げないものの、皆ヒソヒソと囁きあっている。
「あら? 皆様何だか様子が変ですわね。一体どうしたのでしょう?」
普段、噂話に関わることの少ないラルカは、彼等がどうして色めき立っているのか、その理由がわからない。自分が話題の中心になることすら、想像したこともないのである。
「さあ。なにか良いことがあったんじゃないでしょうか?」
ブラントは素知らぬ顔をしながら、首を傾げる。
理由を熟知しながら、実に白々しいことだ。
(仕方ないだろう?)
この二年間、どれほどこの時を待ち望んでいたかわからない。
隣を歩くラルカをエスコートしつつ、ブラントは一人感慨にふける。
まだ早朝だが、騎士や文官らが幾人も行き交う、平和でありきたりな風景。
けれど、車輌から降り立った二人を見て、彼等は目を丸くした。
「嘘だろう? ラルカ嬢がブラントと一緒に出勤⁉」
「婚約の噂は本当だったのか⁉」
「そんな! ソルディレンさまがっ」
王女エルミラの側近であるラルカと、王太子アミルの近衛騎士であるブラント。おまけに、二人揃って超のつく美形。当然ながら、皆の関心は高い。
驚くもの、悲しむもの、嘆くもの、単に噂話を楽しむもの。
大声こそ上げないものの、皆ヒソヒソと囁きあっている。
「あら? 皆様何だか様子が変ですわね。一体どうしたのでしょう?」
普段、噂話に関わることの少ないラルカは、彼等がどうして色めき立っているのか、その理由がわからない。自分が話題の中心になることすら、想像したこともないのである。
「さあ。なにか良いことがあったんじゃないでしょうか?」
ブラントは素知らぬ顔をしながら、首を傾げる。
理由を熟知しながら、実に白々しいことだ。
(仕方ないだろう?)
この二年間、どれほどこの時を待ち望んでいたかわからない。
隣を歩くラルカをエスコートしつつ、ブラントは一人感慨にふける。