【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
18.ブラントのご褒美
屋敷に戻ると、早速ラルカは使用人たちにリサーチをはじめた。
ブラントの好きなもの、嫌いなもの。
服や小物の好み。
趣味や特技。
休日の過ごし方など、ありとあらゆることを聞いて回る。
「お嬢様に『ブラントさまを知りたい』と思っていただけて本当に良かったです……!」
使用人たちは瞳を輝かせて、手を取り合い喜んだ。
ラルカには彼らがどうしてそんなにも喜ぶのか、いまいち理解できない。恩人にお礼をしたいと思うことも、そのために当人を知ろうとすることも当然だからだ。
とはいえ、二人が仮初の婚約者だということは、使用人たちにも秘密だ。それとなく事情を誤魔化しながら、ラルカはそっと微笑んだ。
「わたくし、ブラントさまに贈り物をしたいのです。こんなにも良くしていただいて、本当に嬉しく思っていますもの。どうせ贈るならば、彼が心から喜んでくれるものが良いでしょう?」
エルミラに助言を求めた時と同じように、ラルカは己の胸の丈を打ち明ける。そうした方が、より良い助言に繋がると思ったからだ。
きっと具体的なアドバイスが得られるだろう――――そう思っていたのだが。
「まあ、お嬢様! ブラントさまはお嬢様が贈られるものならば、なんでも、心から喜ぶに違いありませんわ!」
「え……と、そうかしら?」
「そうですとも!」
しかし、ここに来てエルミラの予言は完全に当たってしまった。
使用人たちは「なんでも良い」と力説するばかり。有益な情報が一切得られずじまいだった。
ラルカとしては予想外の展開に、少々面食らってしまう。
(何でも良い、が一番困るのよね……)
せめて分野を絞ってくれればと思うのだが、誰も彼も、助言をしてくれる気は一切ないらしい。
ブラントの好きなもの、嫌いなもの。
服や小物の好み。
趣味や特技。
休日の過ごし方など、ありとあらゆることを聞いて回る。
「お嬢様に『ブラントさまを知りたい』と思っていただけて本当に良かったです……!」
使用人たちは瞳を輝かせて、手を取り合い喜んだ。
ラルカには彼らがどうしてそんなにも喜ぶのか、いまいち理解できない。恩人にお礼をしたいと思うことも、そのために当人を知ろうとすることも当然だからだ。
とはいえ、二人が仮初の婚約者だということは、使用人たちにも秘密だ。それとなく事情を誤魔化しながら、ラルカはそっと微笑んだ。
「わたくし、ブラントさまに贈り物をしたいのです。こんなにも良くしていただいて、本当に嬉しく思っていますもの。どうせ贈るならば、彼が心から喜んでくれるものが良いでしょう?」
エルミラに助言を求めた時と同じように、ラルカは己の胸の丈を打ち明ける。そうした方が、より良い助言に繋がると思ったからだ。
きっと具体的なアドバイスが得られるだろう――――そう思っていたのだが。
「まあ、お嬢様! ブラントさまはお嬢様が贈られるものならば、なんでも、心から喜ぶに違いありませんわ!」
「え……と、そうかしら?」
「そうですとも!」
しかし、ここに来てエルミラの予言は完全に当たってしまった。
使用人たちは「なんでも良い」と力説するばかり。有益な情報が一切得られずじまいだった。
ラルカとしては予想外の展開に、少々面食らってしまう。
(何でも良い、が一番困るのよね……)
せめて分野を絞ってくれればと思うのだが、誰も彼も、助言をしてくれる気は一切ないらしい。