【電子書籍化】独身貴族になりたいんです!〜毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢は、エリート騎士に溺愛される〜
「そういえば、ブラントさまはどうして騎士になりたいと思われましたの?」
動揺を誤魔化すように、ラルカが話題を振る。
ソルディレン家は優秀な文官を多く輩出している名家だ。以前から、ブラントが騎士の道を選んだ理由が気になっていたのだが。
「……そうですね。実は僕、騎士という仕事に対して、大した思い入れはなかったんです。文官でも騎士でもやっていけそうだから、親族とは違う道をとってみよう、そこで成功を目指してみよう、と」
ブラントは言いながら、困ったように微笑む。どこか自嘲するような笑み。ラルカはそっと首を傾げた。
「けれど、今考えると本当に愚かでした。試験には簡単に通ったのですが、その後がてんでダメで。実は僕、三年前に騎士を辞めて、文官になろうと考えていたんです」
「そうなのですか?」
今の、アミルの側近を立派に務めている姿からは想像ができない。ラルカはまじまじと目を瞠る。
「当時の僕は体格も小さく、剣技も……決して褒められたものではなくて。王都に来て、優秀な騎士たちを――自分との差を目の当たりにして、僕のプライドはズタズタになりました。今思えば、完全に井の中の蛙だったのです。
そこで、自分には無理だ、向いていないと」
当時を懐かしむように、ブラントはそっと目を細める。
動揺を誤魔化すように、ラルカが話題を振る。
ソルディレン家は優秀な文官を多く輩出している名家だ。以前から、ブラントが騎士の道を選んだ理由が気になっていたのだが。
「……そうですね。実は僕、騎士という仕事に対して、大した思い入れはなかったんです。文官でも騎士でもやっていけそうだから、親族とは違う道をとってみよう、そこで成功を目指してみよう、と」
ブラントは言いながら、困ったように微笑む。どこか自嘲するような笑み。ラルカはそっと首を傾げた。
「けれど、今考えると本当に愚かでした。試験には簡単に通ったのですが、その後がてんでダメで。実は僕、三年前に騎士を辞めて、文官になろうと考えていたんです」
「そうなのですか?」
今の、アミルの側近を立派に務めている姿からは想像ができない。ラルカはまじまじと目を瞠る。
「当時の僕は体格も小さく、剣技も……決して褒められたものではなくて。王都に来て、優秀な騎士たちを――自分との差を目の当たりにして、僕のプライドはズタズタになりました。今思えば、完全に井の中の蛙だったのです。
そこで、自分には無理だ、向いていないと」
当時を懐かしむように、ブラントはそっと目を細める。