【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
■第八章
「カナト、またいつでも遊びに来てね」
「ああ、そのうちな」
それから一週間ほどして、カナトは家を出ていった。
「カナト、身体に気をつけてよ。ちゃんと野菜食べるんだよ」
「分かってるつーの。姉ちゃんは心配しすぎ」
「後……レイヤのこと、許してあげてね」
カナトはため息を一つ吐き、「分かってる。もう二人の邪魔するようなことは、しないよ」と私に言った。
「……そっか」
カナトが分かってくれて、本当に良かった。
あの日……私はレイヤから、想い人のことを聞いた。 レイヤの過去を聞いて、私は涙が止まらなかった。
レイヤにそんな過去があったなんて……。私はずっと、勘違いをしていたんだ。
レイヤの想い人がまさか、あんなことになっていたなんて……。想像もしてなかった。
レイヤはずっと後悔していたんだ。彼女を死なせてしまったことを……。
「……姉ちゃん」
「ん?」
「アイツのこと、支えてやれよ」
カナトは私に、今確かにそう言った。
「アイツ……姉ちゃんのこと本当に愛してるみたいだから。 だから、姉ちゃんはこれからも、アイツのこと支えてやれよ」
これはカナトなりの、レイヤへの気遣いなのだろうか。