【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「言わなくても、支えていくつもりだよ」
「そっか。……まあもしまたケンカしたら、その時は俺の所に来いよ。泊めてやる」
「うん、ありがとう」
カナトもレイヤのこと、少しは分かってくれたのかな。……だといいな。
「じゃあ俺、行くわ」
「そこまで送るよ」
「いいよ、別に」
カナトはスーツケースを持ち、「じゃあな、姉ちゃん」と玄関を出ていく。
これでまた、二人の生活に戻ったんだな。私たちなら、もう大丈夫かもしれない。
きっと何があっても、助けあっていけるはず。
「……なんか、広く感じる」
カナトが泊まっていた部屋を開けると、何もなくなっていた。まるで誰もいなかったかのようだ。
レイヤと私は、これでさらに夫婦の絆が強くなれた気がした。 レイヤが初恋の人を失って辛い経験をしたことは、間違いない。
でも私は、レイヤのそばでずっとレイヤのことを愛していける。 それはもう、紛れもない事実だ。
想い人がいることをずっと隠していたレイヤを、私はずっと否定していた。夫婦だからこそ、隠しごとなんてしたくないし、されたくなかったから。
私はそれを打ち明けてもらうことを、レイヤに押し付けていただけに過ぎなかった。