【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「アユリ……」
私はレイヤの身体をそっと抱きしめる。そして「レイヤが好きになった人……レイヤがずっと忘れられない、好きになった人なんでしょ? 私、その子に感謝の気持ちを伝えたいの。あなたに出会わせてくれたことにありがとうって、ただ伝えたいの」と伝える。
「……そうか」
「ずっと後悔してるんでしょ?……なら、その後悔の言葉を、伝えてあげればいいんじゃないかな。きっと、許してくれると思うよ」
こんなことを私が言うなんて、変かもしれない。でも私は、レイヤが抱えていた後悔を知っているからこそ、その後悔をムダにしてほしくだけ。
レイヤが今幸せに生きているというこの瞬間を、私は彼女に伝えたい。
「アユリ……ごめん」
「謝らないでいいんだよ。私は、私がそうしたいから言ってるんだもん」
私はこうして幸せになる瞬間を知っている。だからこそ、レイヤがずっと抱えている後悔を一緒に抱えたいと思ってる。
こんなのは、私のエゴかもしれないけど、これが私の幸せなんだ。 そういうのも全部含めて、私の幸せなんだ。
「ありがとう……アユリ」
「私も、レイヤの後悔を一緒に背負いたい。……私たち、夫婦でしょ?」
支え合うこそ、夫婦だから。