【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
✱ ✱ ✱



 そして週末、私たちは彼女の眠っているお墓へとやってきた。
 レイヤの足は少し震えていたけど、次第におさまっていた。

「ここだ、アユリ」

「ここが……」

 彼女のお墓には、いくつかのお線香とお花などが飾られていた。

「ミズキ……さん」

 彼女は、ミズキさんという名前だった。

「ミズキ……久しぶり。全然会いにこなくて、ごめん」

 お墓の前に立ち止まり、レイヤは静かに話し出す。

「ミズキ……俺のこと、怒ってるよな。俺、ミズキのこと傷付けたし……。怒らない訳、ないよな」

 レイヤの声は震えていて、その背中も泣いているようにも見える。

「俺さ、ずっと後悔してた。ミズキのことあんな目に遭わせたから……ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 ミズキに責められるのが怖くて……会いに来る勇気がなかったんだ。本当にごめん」

 レイヤの気持ちが、ミズキさんには伝わっていると、私は思っている。

「今さらなんだって、そう思うよな。……俺、ミズキのことずっと忘れられなかった。 俺の心はずっと後悔に苛まれて、どうしようもなかったんだ。でもそんな時……俺は妻に出会ったんだ。 妻は、アユリって言うんだ。俺をずっと支えてくれた、俺の愛おしい人だ」
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