【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
私はただじっと、レイヤの話を聞いていた。
「今……俺は幸せだと、感じてる。それは妻がいてくれたおかげだ」
「……レイヤ」
「ミズキ……俺のこと、許してくれだなんて言わない。 俺のことは恨んだままでもいい。……でもせめて、俺が幸せになることを認めてほしい。俺、父親になるんだ、もうすぐ。今俺の妻のお腹に、子供がいるんだ」
レイヤのそう話す姿に、私は涙が止まらなくなりそうだった。
「俺が辛い時に支えてくれたのは、妻なんだ。だから俺、妻と幸せになりたいんだ。……どうか、認めてほしい」
「レ、イヤ……っ」
「ミズキ、紹介するな。妻のアユリだ」
「初めまして、ミズキさん。……妻のアユリです。よろしくお願いします」
ミズキさんはどんな人なんだろう。どんな風に笑う人なんだろう。
そう思っていると、近くから誰かに「どちら様ですか?」と声をかけられた。
「もしかして……レイヤくん……?」
声を掛けてきた女性は、しなやかな声をしている女性だった。
「……もしかして、おばさん、ですか?」
「やっぱり、レイヤくんなのね?」
その女性は、ミズキさんの母親だと名乗った。
「あの、そちらの女性は……?」
「妻です」