【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「俺……ずっと来れなくて、すみませんでした」

「いいのよ、気にしないで。……あの子のことは、あなたのせいじゃないもの」

 ミズキさんのお母さんは、レイヤを一言も責めたりはしなかった。
 むしろ優しく接してくれて、妻の私にも優しく接してくれていた。

「ミズキだって、あなたのことは責めてないと思うわ。……きっとあなたが幸せに暮らしていることを、喜んでくれていると思うわ」

「……そうだと、いいんですけど」

「そうよ、きっと。 さ、食べて」

「はい。いただきます」

 ミズキさんのお母さんが出してくれたバームクーヘンを食べながら、お母さんは私にも色々と聞いてくれた。
 出身地、年齢、好きな食べ物。レイヤとの出会いなど、興味があることをたくさん聞いてくれた。

「レイヤくん、ミズキのこと……。いえ、もう自分のこと責めたりしないでね? あなたのことは、私たちは誰一人責めたりしてないから」

「……ありがとうございます」

 レイヤの気持ちも、これで少しは晴れてくれると嬉しいな。
 
「アユリさん、レイヤくん、幸せになってね。元気な赤ちゃん、産んでね?」

「はい。……ありがとうございます」

 レイヤ……私たち、幸せにならなきゃだね。
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