【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
✱ ✱ ✱



「カナト、いらっしゃい」

「おう。久しぶり」

 妊娠が分かってから、カナトは久しぶりに我が家に遊びにやってきた。

「これお土産」

「え、なに? ありがとう」

 カナトはシュークリームを買って来てくれたみたいだった。

「シュークリームじゃん」

「おう。だって姉ちゃん、シュークリーム好きだろ?」

「ありがとう。今コーヒー淹れるね」

 カナトがこうして遊びに来てくれたことに、ちょっとホッとしている自分がいた。
 あの日以来、なかなか遊びに来てくれなかったカナトだったから、ちょっと不安だったんだけど。

「アイツは?」

「今出掛けてる」

「そっか」

 あの日からカナトは、私たちの仲を引き裂くようなことはしなくなった。まだカナトが、レイヤのことを受け入れてくれているかは、分からないのだけど。
 少なくとも、子供が出来てからはカナトも喜んでくれているみたいだ。

「はい、コーヒー」

「サンキュ」

「仕事は順調?」

 ソファに腰掛けた私に、カナトは「まあまあかな」と答える。

「そっか。仕事忙しいみたいだね、最近」

「まあな。でもやり甲斐あるから」

「そっか。良かった」

 カナトが元気そうで良かった。
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