【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「っ……んふぅ……」

 チャプチャプと音を立てる湯船の音と、唇を重ね合う音が混ざり合って、妖艶な雰囲気を醸し出す。

「レイ、ヤ……っ、そこ、ダメだってば」

 いやらしく触れてくるレイヤの手を振りほどけない私は、レイヤの心臓の音を聞きながら恥ずかしい気持ちになっていた。

「本当に可愛いね、アユリ。……このまま抱きたくなる」

「っ……」 

 耳元でそんなことを囁かれたら、何も言い返せなくなる。

「レイヤ……私のこと、好き?」

 なんとなくそう聞いた私に、レイヤは「……そりゃ、妻だからな」と答えるけど、その答えには愛があるか分からなかった。
 だって、その答えは「好き」でも「嫌い」でもなかった。妻だからって、そう答えたんだ。

「アユリ、そろそろ背中を流してくれるか?」

「うん」

 レイヤの背中を泡立てたボディタオルで洗っていく。

「力加減、大丈夫?」

「ああ、ちょうどいい」

 レイヤの背中を流していくと、レイヤの大きなその背中に抱きつきたくなる。

「……レイヤ」

「アユリ……?」

 レイヤの背中は大きい。そして暖かい。

「レイヤ……私、あなたのことが大好きよ」

「……アユリ」
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