【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
それを信じてくれるかどうかは、カナト次第なのだけど。
「まあ……姉ちゃんは幸せそうだもんな」
「幸せだよ、だって。 家族も一人、増えるしね」
「……まあ、そうだよな。姉ちゃん、腹に子供いるんだもんな」
私はお腹に手を当てながら「うん、そうだよ。毎日蹴るんだよ、この子」と話すと、カナトは「元気なんだな、お腹の子」とコーヒーに口を付ける。
「うん、私……家族になるってすごいことなんだって思うんだよね。家族が出来るって、すごく不思議だなって思う」
「家族、ねえ……」
「私だって、カナトが生まれた時嬉しかったよ。弟が出来るって最高で、幸せなことなんだって思ったもん」
だからカナトにも、幸せになってほしい。最高に幸せだと思える瞬間を、手にしてほしい。
それは私が、カナトの幸せを願っているからこそだ。
「カナトは、カナトなりの幸せを見つければいいんじゃないかな。……別に今からでも、遅くないと思うよ。幸せの瞬間は、みんなそれぞれ違うから」
「……まあ、そうかもな」
「カナトがその人のことを知りたいってもし思うなら、受け入れてみればいいんじゃないかな?素直にさ」
カナトは私の言葉に耳を傾けた後、「素直に、ねぇ……」と呟く。