【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「まあ、ゆっくり考えればいいんじゃない?」

「……分かった」

 カナトが少しでも前に進んでくれたら、私は嬉しいな思える。前向きに生きてくれて、何かに悩んで、それを相談してくれるなんて、私にとってはそれも奇跡だ。
 家族だからこそ、思える奇跡だ。こんな奇跡、なかなかないと思う。

「私は、カナトの幸せを願ってるよ」

「……ああ、ありがとう」

 カナトが前向きになってくれただけで、私はそれだけで嬉しいんだ。

「あ、シュークリームのことだけど」

「ん?」

「アイツの分もあるから、アイツに伝えておけよ」

 カナトが……レイヤの分のシュークリームを?

「うん、ありがとう。伝えておくね」

「じゃあ、俺は帰るから」

 立ち上がるカナトに、私は「え、もう帰るの?」と問いかける。

「ああ、また来るよ」

「ありがとう」

 カナトが帰った後、レイヤの分のシュークリームを冷蔵庫に入れる。
 洗濯物を取り込んで畳んでいると、レイヤが帰ってくる。

「ただいま」

「おかえりなさい。冷蔵庫にシュークリームあるよ」

「シュークリーム?」

 カナトが買ってきてくれたの伝えると、レイヤは「カナトが?そうなのか」とキッチンに行く。
< 131 / 134 >

この作品をシェア

pagetop