【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「まあ、ゆっくり考えればいいんじゃない?」
「……分かった」
カナトが少しでも前に進んでくれたら、私は嬉しいな思える。前向きに生きてくれて、何かに悩んで、それを相談してくれるなんて、私にとってはそれも奇跡だ。
家族だからこそ、思える奇跡だ。こんな奇跡、なかなかないと思う。
「私は、カナトの幸せを願ってるよ」
「……ああ、ありがとう」
カナトが前向きになってくれただけで、私はそれだけで嬉しいんだ。
「あ、シュークリームのことだけど」
「ん?」
「アイツの分もあるから、アイツに伝えておけよ」
カナトが……レイヤの分のシュークリームを?
「うん、ありがとう。伝えておくね」
「じゃあ、俺は帰るから」
立ち上がるカナトに、私は「え、もう帰るの?」と問いかける。
「ああ、また来るよ」
「ありがとう」
カナトが帰った後、レイヤの分のシュークリームを冷蔵庫に入れる。
洗濯物を取り込んで畳んでいると、レイヤが帰ってくる。
「ただいま」
「おかえりなさい。冷蔵庫にシュークリームあるよ」
「シュークリーム?」
カナトが買ってきてくれたの伝えると、レイヤは「カナトが?そうなのか」とキッチンに行く。