【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 レイヤに見つめられると、ドキドキする。 いっそこのまま、レイヤを押し倒してしまおうか。
 なんて考えが浮かぶ。

「OK。流せたよ」

「ああ、ありがとう。サッパリした」

 嬉しそうに微笑むレイヤに、私は「良かった」と答えた。

「俺もう出るけど、アユリはどうする?」

「私はまだ、湯船浸かろうかなって思ってる」

「そうか、分かった。先出るな」

 レイヤの背中を見つめながら「うん」と返事をして、再び湯船に浸かる。
 湯船に浸かりながら、私はレイヤのことばかり考えていた。
 レイヤのことが好きなのに、この先もちゃんと夫婦としてやっていけるのかも分からなくて、不安に駆られる。

 レイヤの想い人が誰なのかも分からないし、そんなこと聞くことも出来ない。
 それをもし聞いてしまったら、きっと夫婦ではいられなくなる。 そう思うと、何も言えない。

「っ……」

 レイヤと一緒にいて、泣きそうになることなんてなかった。 でも今、一緒にいるのにたまに距離が遠く感じることがある。
 レイヤの心が私に向いていないのではないか、そう思って苦しくなる。

 ……愛って、なんなんだろう。 何が愛なんだろう。
 愛が分からない。
< 14 / 134 >

この作品をシェア

pagetop