【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
レイヤに見つめられると、ドキドキする。 いっそこのまま、レイヤを押し倒してしまおうか。
なんて考えが浮かぶ。
「OK。流せたよ」
「ああ、ありがとう。サッパリした」
嬉しそうに微笑むレイヤに、私は「良かった」と答えた。
「俺もう出るけど、アユリはどうする?」
「私はまだ、湯船浸かろうかなって思ってる」
「そうか、分かった。先出るな」
レイヤの背中を見つめながら「うん」と返事をして、再び湯船に浸かる。
湯船に浸かりながら、私はレイヤのことばかり考えていた。
レイヤのことが好きなのに、この先もちゃんと夫婦としてやっていけるのかも分からなくて、不安に駆られる。
レイヤの想い人が誰なのかも分からないし、そんなこと聞くことも出来ない。
それをもし聞いてしまったら、きっと夫婦ではいられなくなる。 そう思うと、何も言えない。
「っ……」
レイヤと一緒にいて、泣きそうになることなんてなかった。 でも今、一緒にいるのにたまに距離が遠く感じることがある。
レイヤの心が私に向いていないのではないか、そう思って苦しくなる。
……愛って、なんなんだろう。 何が愛なんだろう。
愛が分からない。