【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 ずっとレイヤの心がほしいって、そう思ってる。……けど、それは難しい。

「そうか。 まあほしいもの見つかったら、遠慮なく言えよ」

「う、うん。ありがとう」

 レイヤが優しいのは、きっと私が妻だから。多分妻じゃなければ、私になんて優しくはしてくれないだろう。
 妻という存在が、私を邪魔をしている。

「アユリ? どうした?」

「……え?」

 レイヤが私を不思議そうに見つめている。

「ううん、何でもないよ」

 レイヤにはきっと言えないだろうな、私の気持ちなんて。
 レイヤの想い人が誰かなんて、本当は知りたくなんてない。……でもきっとそうしないと、私の心はずっとモヤモヤして晴れないままだ。
 政略結婚だとしても、大好きな人と結婚したことに変わりはないのに、私はずっと苦しい思いをしている。

「せっかくのデートなんだから、楽しもう」

 レイヤのその言葉に、私は「うん」と返事をしして、レイヤの手を再び握り直した。

「アユリ、これアユリに似合いそうだな」

 とあるアパレルショップの前で、マネキンが着ている服を見て、レイヤは私にそう言ってきた。

「そう……かな?」

「アユリはスタイルいいから、こういうの似合いそうだ」
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