【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
そう言ってレイヤは、「な、どうだ?」と問いかけてくる。
「うん、可愛いね」
私はこんな服、自分では買わない。そもそも似合ってるとも思ってないけど。
「アユリにプレゼントしようか?」
「え……?」
プレゼント?レイヤが? 私に……?
「アユリがこれ着てるとこ、見たいなって思って」
「いや、いいよ別に……!」
と拒否したものの、レイヤはマネキンが着ている服を買う気満々だ。
「ほらアユリ。黒とグレー、どっちがいい?」
「ちょっとレイヤ。いいって言ったでしょ」
「いいから。黒とグレー、どっちがいいか選んで」
ちょっと強引なレイヤに困惑しつつも、私は「じゃあ……グレーにしようかな」と答える。
「ん、グレーな。 じゃあちょっと待ってて」
「えっ? レイヤ……?!」
グレーのワンピースを手に取り、そのままレジの方へと歩いていく。
「だからいいって、言ったのに……」
強引なんだから、レイヤは……。
でもレイヤのそういう所も、私は嫌いじゃない。 むしろそれも、レイヤの魅力なのかもしれない。
「アユリ、お待たせ」
会計を済ませたレイヤが、紙袋を手に私の元へと歩いてくる。