【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 でもそう思った時、私はそれに耐えられないような気もしていた。
 レイヤのことが好きなのは確かだ。政略結婚といえども、ずっと一緒にいたからいつの間にレイヤのことを好きになった。

 レイヤが私のことをどう思ってるのかなんて、分からないけど。
 それでも私は、レイヤとこうして夫婦でいられることに、少しばかり安心感を覚えていた。

「アユリ」

「……ん?」

 レイヤの顔をふと見ると、レイヤは私の顔を引き寄せて軽めのキスをする。

「レイヤ……?」

「アユリ。どうして、そんなに悲しい顔をするんだい?」

 レイヤの一言で、私は目を見開く。

「……え?」

「俺とキスするの、イヤだった?」
 
 私は慌てて否定するように「違うよ。そんなこと……ないよ」と答える。

「ならどうして、そんなに悲しい顔をするんだい?」

「……そんなことないよ。 レイヤの気のせいじゃない?」

 レイヤには、分かってしまっているのだろうか。……私が、レイヤと離婚してしまいたいと葛藤していることを。

 レイヤに愛されたいと思うことは、想い人がいるんだからそんなことムリなのに。
 私は、レイヤには愛されないーーー。
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