【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「本当に、買ってくれたの……?」

 そう聞くとレイヤは「当たり前だろ?」と、その紙袋を渡してくる。

「……ありがとう、レイヤ」

 レイヤからのプレゼントは嬉しい。でもその反面、申し訳ない気持ちにもなる。
 
「気にするな。俺がそうしたいだけだから」

 俺がそうしたいだけ、か……。その言葉には、愛があるのだろうか。

「ほら、次行こうか、アユリ」

「う、うん」

 紙袋を手にした私の手から紙袋を奪うと、「俺が持つよ」と言ってくれる。

「……ありがとう」

 けれどレイヤの優しさは、今の私には辛い。

「あのさ、レイヤ……」

「ん?」
 
 レイヤの顔を見つめる私に、レイヤは「アユリ?どうした?」と顔をのぞき込んでくる。

「……ううん、何でもない」

 私には言えない。レイヤの優しさに甘えてしまうから、こんなことを言う訳にはいかない。

「そっか。 じゃあ、行こうか」

「うん」

 今日は二人でデートなんだから、楽しまなきゃ。
 夫と、レイヤとのデートなんだから。

「なあ、アユリ」

「ん……?」

「アユリにも、俺の服を選んでほしい」

 え、私が? 私が、レイヤの服を……?
 でも、いいのかな……。
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