【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「だから何かあるなら、遠慮なく言ってほしい」
そう言われても……。想い人のことなんて、言える訳がない。
「なにもないよ。……なんで?」
そう聞くと、レイヤは「いや、最近何か悩んでるように感じたから」と私に言った。
「別にないよ、そんなこと。 だって……今私は、幸せだし」
本当に幸せだと思っているのかは、分からない。 でも確かに私は、幸せな日々を送っていた。
「そっか。ならいいけど」
そんなレイヤに、私は「レイヤは気にしすぎだよ。……私のことは、そんなに気にしないでいいのに」と笑った。
「……バカ。気にしない訳がないだろ?」
「え……?」
レイヤは私の頭を撫でながら、「お前は俺の妻なんだ。そりゃ、色々と気にするに決まってるだろう」と言ったのだった。
「……色々?」
「そう、色々。 アユリのことは全部、俺は気になるよ」
私のことは、全部……。その気持ちが嬉しい反面、切なくもなった。
「さ、美味しいもの食べよう」
「……うん」
気になるとか、そういうのずるい。……私だって、レイヤのことが気になるよ。
レイヤの気持ちとか、レイヤの言葉とか、レイヤの考えとか、全部気になる。……全部。