【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
■第三章


 そんなことばかりを考えていたある日の午後のこと。

「もしもし……ママ?」

 ママから突然、電話がかかってきたのだ。

「あ、アユリ?ママよ」

 ママの電話越しの声はとても明るくて、何かいいことでもあったのだろうか、と思ってしまった。

「うん、どうしたの?」

 ママは私に向かって「あなた最近全然帰ってこないけど、レイヤくんとは仲良くやってるの?」と聞いてくる。

「……うん、まあね」

 夫婦として、仲良くはやっていると思う。

「そう、ならいいけど。 たまには家にご飯でも食べに来たら?」

「うん、考えとくね」

 ママはきっと、レイヤの顔を見たいっていうのも、あるのかな。

「レイヤくん、ちゃんと連れてきなさいよ?」

「分かってるよ。ちゃんと連れてくから」

 ママはレイヤのことをなんやかんやと気に入っていて、ことある毎に連れてきなさいと言ってくる。

「絶対だからね!」

「分かってるってば」

 レイヤにも伝えないと、かな。

「あなたの大好きなビーフシチュー作って待ってるから、来る時はちゃんと連絡しなさいね?」

「分かったよ、ママ」

 ママは結構、寂しがり屋なんだよね。私にしょっちゅう連絡してくる。
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