【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 こんなの、夫婦って言えるのかな……。私たちは夫婦だけど、レイヤの全部を知ってると言われたら、自信がない。
 レイヤの妻である自信が、私にはない。

「……っ」

 今無性に泣きたくなるのは……。

 きっと、私が臆病者だからだ。

  


✱ ✱ ✱
 


「アユリ、レイヤくん、いらっしゃい!」

 仕事を終えて帰宅したレイヤと、実家へ向かうと、ママは私たちを笑顔で出迎えてくれる。

「お義母さん、お久しぶりです」

 レイヤはいつもみたいに優しい笑顔で、ママに挨拶をする。

「よく来てくれたわね! さ、上がって!」

「はい。お邪魔します」

 リビングに通された私たちに、ママは「今美味しいコーヒー淹れるから待っててね」と、キッチンへと向かう。

「ママ、私も手伝うよ」

「あら、ありがとう」

 ママと二人でキッチンに立つのは、久しぶりな気がする。
 結婚して家を出てからは、あまり実家にも帰ってきていなかったから、なんか緊張する。

「レイヤくんと仲良くやってるみたいで、良かったわ。 あなたがあんまり帰って来ないから、心配してたのよ」

 ママはお湯を沸かしながら、私に向かって安心したような表情を見せる。
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