【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「どうかしたの?」

 私は食器棚からマグカップを取り出しながら、「ううん、何でもない」と答える。

 レイヤとのこれからのことを考えたいけど、それは無理なんだろうか……。なんて思ってても仕方ないと感じた私は、マグカップにお茶を注いでいく。

「ねえ、ママ」

「ん?」 

 何かを言いかけた私に、ママは「そうだ。アユリ、これリビングに持っててくれる?」とお茶に視線を向ける。

「うん、分かった」

 お茶の入ったマグカップをお盆に乗せると、私はそれを持ってリビングへと向かう。

「お待たせ、お茶持ってきたよ」

 リビングのソファでは、レイヤと父が何やら楽しそうに話をしている。

「お、ありがとうアユリ」

「ありがとう、アユリ」

 二人は私に優しく微笑みかける。

「今ママがパウンドケーキ持ってくるから、お茶飲んで待っててだって」

「分かった」

 私もレイヤの隣に座ると、「何話してたの?二人で」と問いかける。

「アユリの小さい頃の話をしてたんだよ。 な?レイヤくん」

「はい」

 その父の言葉に、私は「えっ!? なんで?!」となった。

「アユリが小さい頃から可愛いって話をしてたんだよ」

「やめてよ、恥ずかしいから!」
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