【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 もう!パパってば! そういうのいいのに!

「いいじゃないか。レイヤくんも聞きたがってたんだから。 な?レイヤくん?」

「はい。聞けて良かったです」

 私はレイヤの肩を叩いて「もう、そんなこと聞かなくていいのに!」とレイヤに言ったけど、レイヤは「アユリは小さい頃、泣き虫だったんだって?」とニヤニヤしながら聞いてくる。

「え?私、泣き虫じゃないのに!」

 もう、パパってば!余計なことを言うんだから……!

「お前はよくわんわん泣いてただろう? そういえば、大事なうさぎのぬいぐるみの耳が取れた時も、わんわん泣いてたなあ?」

 上機嫌なパパは、レイヤに話すかのようにそう話した。

「ねえ、それいつの話? 全然覚えてないんだけど。小さい頃の話でしょ?」

「パパはよーく覚えてるぞ?あの時アユリは、同じぬいぐるみ買ってくれーってママに泣きついてたな」

 なんて話していると、ママが「あらー、ずいぶん懐かしい話してるのねぇ?」とリビングに入ってくる。

「お待たせ。パウンドケーキ持ってきたわよ〜」

 パウンドケーキの乗ったお皿を私たちの前に並べながら、ママは「さっきのぬいぐるみのこと、アユリは覚えてないの?」と聞いてくる。
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