【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「……覚えてないよ、そんなこと」
でも本当は、覚えてる。 あの時ママは同じぬいぐるみは買えないよって言ってたけど、パパが同じぬいぐるみを内緒で買ってきてくれたんだよね。
あれは忘れもしない。クリスマスイブの日だ。クリスマスイブの朝、袋に入ったクリスマスプレゼントがあって、中身を開けたらあのうさぎのぬいぐるみだった。
当時の私は、サンタさんからのクリスマスプレゼントだって浮かれて喜んでいたっけ。
今思うと、あれはパパからのクリスマスプレゼントだったんだな。 本当に私は、わがままな子供だったな。
ママ、パパ、本当にごめん。と心の中で謝る。
「小さい頃の話だもの。覚えてなくて当然よ」
ママは私たちに「さ、みんなでパウンドケーキ食べましょう?」とにこやかに微笑む。
「じゃあ、いただきます」
「僕も、いただきます」
ママのお手製パウンドケーキを食べると、懐かしい味がした。 いつも食べていた、あの味だ。
「ん、美味しい」
「美味いです、お義母さん」
レイヤもすごく喜んでいた。
「良かったわ。おかわりもあるから、遠慮なく食べてね」
「ありがとうございます」
レイヤ、今日はよく笑ってるな。