【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
普段だって優しいし、よく笑っているけど、気を遣ってくれているのかは分からない。
もしそうだとしたら、気を遣わなくてたっていいのに。
「レイヤくん、ジャム付ける?」
「いいんですか? じゃあもらいます」
「はい。どうぞ」
ママからジャムの瓶を受け取ったレイヤは、「ありがとうございます」とジャムをパウンドケーキの隣にちょんと乗せる。
「ん、ジャムも合いますね」
「でしょ?そのジャムもね、私が手作りしたの」
ママは嬉しそうに笑っている。
「ジャムもですか? さすがお義母さんですね。ジャムもすごく美味しいです」
レイヤは本当に口がうまい。ママを褒める天才かもしれない。
「あら、良かったわあ。いっぱい食べてね」
「ありがとうございます」
こんなに食べたら太りそう、と言いつつレイヤはパウンドケーキを完食していた。
「何女子みたいなこと言ってんの? 全然細いじゃん」
と言ったら、レイヤは「アユリもお義母さんと同じで料理が美味いから、食べちゃうんですよね」と調子のいいことを言っている。
「おだてても何も出ないけど?」
「そんなのは望んでないよ」
……やっぱり調子いいこと言う。