【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「本当にアユリは、素敵な人と結婚したわね。こんなにいい旦那さん、他にはいないわよ、きっと」
「いえ、そんな。 僕の方こそ、素敵な人と結婚出来たなって思ってます。ありがとうございます」
レイヤの調子のいい言葉は、ママをとことん笑顔にする。
私が困るくらい、調子のいい人ね。
「アユリ、あなたはレイヤくんと結婚して幸せね。ママも嬉しいわ、あなたがこんなに幸せで」
ママの言葉に、私は少し言葉を返すのを躊躇った。
幸せだと思っているのは、きっとママとパパだけ。私は今が本当に幸せなのか、それすらも分からない。
レイヤの想い人のことがずっと気になって、胸の奥が震える。怖くなって、それすらも聞けなくなる。
私がこんなに臆病者だってことを、ママはきっと知らない。 胸の奥でずっと葛藤している私の苦労なんて知らずに、ママは楽しそうに笑ってる。
パパもレイヤと結婚したことをすごく喜んでくれているけど、幸せだって思っているに違いない。
出来ることなら、私だってなんの躊躇いもなく普通に幸せに暮らしたい。
幸せな家族を夢見ているけど、そんなの難しいことなのかな。
レイヤが私と結婚して、本当に幸せなのか分からない。