【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 レイヤのために私が出来ることなんて、限られている。何かが特別ってことでもないけど、私にとっては一つ一つが特別って思える。
 それはレイヤのことが大好きだから。レイヤとずっと夫婦でいたいという、特別な感情があるから。

「……ねぇ、レイヤ」

「ん?」

 私はレイヤの手をぎゅっと握りしめ直すと、「大好きだよ、レイヤのこと」と呟いた。

「ん、俺も大好きだよ」

「……うん」

 大好きだって分かっているから、レイヤがいつか私から離れてしまうのではないかって、すごく不安になる。
 とてつもなくもどかしい気持ちになって、胸が締め付けられる。

「……アユリ?なんでそんなに、悲しそうな顔してるんだよ?」

 レイヤに言われて気づいた。私は今、不安な気持ちを隠せていないんだって。

「え?……してた?そんな顔?」

 と、とぼけたようなフリをするけど、レイヤにはすっかり見破られているみたいだ。

「してた。 何か不安になったのか?」

「……ううん、平気だよ」

 本当は……。本当はずっと、レイヤのそばにいたい。
 でもレイヤの想い人のことが、全然頭から離れない。

「俺には隠さず、何でも言ってほしい。 俺たち、夫婦だろ?」
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