【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
コーヒーを飲みながら、私はレイヤのあの表情のことが気になっていた。
あの切なそうな表情が頭から離れなくて、なんだか苦しくなる。
「なんであんな表情……」
どうしてあんな表情、見せるの……。まるで私の心を見透かしているかのようだった。
この一ヶ月、レイヤは誰かと電話していることが多くなっていた。その電話の相手が誰かなんて分からないし、本当は知りたくなんてない。
でもその相手がもし、レイヤの想い人なんだとしたら……って考えたら、私は耐えられなくなっていた。
私のことが好きだと言っておきながら、私と結婚しているくせに、想い人がいるなんて……。
そんなこと、普通はあっていい訳ない。レイヤは私と結婚してるんだから、私だけを想ってほしいのに……。
「……はぁ」
最近ため息しか出てこない。レイヤがずっと名前も知らない誰かを想っているのなら……。もし忘れられないのなら……。
私はレイヤと、離婚したいとさえ思っている。
二人で家族だからこそ、これから先のことを考えると、その想い人のことで悩むのが辛い。
「アユリ、おはよう」
そんなことを考えていた時、レイヤが眠そうにリビングへと歩いてくる。