【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
メニューを見つめながら私は、食べたいものを決めていく。
「アユリ、今日はせっかくだからワインでも飲もうか」
「え?」
そんな私に、レイヤは「アユリ、ワイン好きでしょ?」と聞いてくる。
「うん、飲もっか」
レイヤの思い人が誰なのか気になるけど、今はそんなことを考えるのはやめよう。
「赤ワインと白ワイン、どっちがいい?」
「んー………赤ワインかな」
「じゃあ赤ワインにしよう」
手早くメニューと赤ワインを注文したレイヤは、私に「アユリ、この前のことなんだけど」と切り出してくる。
「え? この前のこと?」
この前のこととは、なんだろうか?と考えてしまう。
「ほら、この前……アユリの大事にしてたくまのぬいぐるみの腕取っちゃっただろ?左腕」
「くまのぬいぐるみ?」
あー……あれか。たしかに小さい頃に両親に誕生日のプレゼントでもらったくまのぬいぐるみがあって、それを今でも大切にしてたんだ。
そのぬいぐるみの左腕を、レイヤが誤って取ってしまったと申し訳なさそうに言ってきたことがあった。
「本当に申し訳ないと思ってさ、これ……」
レイヤはカバンから何かが包みを取り出すと、私にはいと手渡す。