【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 レイヤは私の頭を優しく撫でながら、「いや。妻を心配するのも、夫である俺の役目だと思ってる。 だから心配させてくれ、たまには」と優しい言葉を掛けてくれる。

「……レイヤ」

 レイヤは優しすぎる。優しすぎるからこそ、私は……。

「アユリ……ずっと俺のそばにいてくれ」

 レイヤのその言葉は、どこか掠れているようにも聞こえた。 悲しそうな感じがして、胸がチクリと痛んだ。

「そばにいたいよ。……ずっと」

 そばにいたいに決まっている。そんなの、当たり前だ。
 だって……だってこんなに、大好きなんだから。

「なら良かった。……アユリが離れていくような気がして怖かったんだ、俺」

「……え?」

 レイヤは私をそっと抱き寄せると「夢を見たんだ。 アユリが……俺から離れていく夢を」と呟くように言った。

「そうなんだ……。そんな夢、見たんだ」

 私はその夢を、現実にしようとしているんだ。……そう思うと、なんだか切なくなった。

「だから起きる度に、アユリが隣にいると安心するんだ。……夢で良かったって、そう思えるよ」

 レイヤにとって、私は隣にいると安心する存在になれているんだと改めて知って、私はすごく嬉しかった。
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