【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「……レイヤが、抱きしめてた?」

「そう。なんか結構親密そうな関係に見えたけど?」

 親密そうな関係……? それはもしかして、レイヤの想い人に何か関係があるの?
 その瞬間に、私の心がザワザワと音を立てる。

 そんな私にカナトは、「姉ちゃんさ、アイツに浮気されてたりしてない?」と心配した素振りを見せる。

「まさか! そんな、レイヤに限ってそんなこと……」

 私の言葉に被せるように、カナトは「ほんとにそんなことないって、姉ちゃんそう思ってんの?」と言った。

「どういう……意味?」

「俺はあれは、充分浮気だと思うけど」

 レイヤが、浮気……。本当にそんなことあるのかな?
 レイヤは私を大切にしてくれてるし、好きだって言ってくれる。

「カナト、レイヤはそんなことしないよ。……私のこと、すごく愛してくれてるもの」

「本当にそう?」

 カナトはとことん、レイヤのことを疑っているようだった。

「あの女、旦那に相当惚れてるっぽかったけど」

「カナトの見間違いじゃなくて……?」

 そうよ、見間違いよきっと。 カナトの見間違い。  
 その人がレイヤに似てただけだよ、きっと。

「だから、見間違いじゃないって」
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