【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 その後カナトは、「姉ちゃん、アイツのことあんまり信用しない方がいいんじゃない?」と言ってくる。

「なんでそんなこと言うの、カナト。ひどいよ」

 だけどカナトは、「そもそも姉ちゃんはアイツのこと信用しすぎなんだよ。……そんなんじゃ、ほんとに浮気されるぞ」と忠告するように告げた。

「信じてるよ、私。レイヤのこと」

 カナトの言うとおりだ。私はただ、そう信じたいだけなのかもしれない。
 レイヤの想い人のことがずっと頭から離れないから、頭がおかしくなっているのかもしれない。
 そう言い聞かせて、信じたいと願っているだけ。

「え、何?アイツが浮気しても、姉ちゃんは許すつもりなのか?」

「……レイヤは、そんなことしない」

 そんな私に呆れたのか、カナトは「呆れた。姉ちゃんって相当バカなんだな。アイツに入れ込みすぎだろ」と言って電話を切ってしまった。

「……そうだよ、私はバカだよ」

 カナトの言うとおり。私はバカな女だよ。
 レイヤのことが大好きで大好きで、仕方ない女。だからレイヤに想い人がいても、私から離れることはないって、勝手にそう思ってた。

 でももし、レイヤがほんとに浮気してるとしたら、その時私は……。
< 54 / 134 >

この作品をシェア

pagetop