【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 その日から、その女の人のことが気になって仕方ない私は、レイヤとどう接したらいいのか分からなくなっていた。
 そしていつしか、レイヤと離婚することばかりを考えていた。
 レイヤはそんなこと気付きもしないだろう。勝手にそう思っていた。

「ねえ、レイヤ……」

「ん?」

 私の隣でドラマを見ながらコーヒーを飲んでいるレイヤに、私はカナトの話を持ち出すことにした。

「レイヤ、私に何か隠してること……ない?」

「隠してること?……ある訳ないだろ、そんなこと」

 今の間はなに……? 少しだけ今、答えるのに間があった。
 やっぱりレイヤは、私に隠している。カナトが見たというあの女の人の存在を……。

「本当に……隠していることはない?」

「だから、ないって言ってるだろ」

 レイヤの答え方は、なぜだか少しキツく感じた。
 怒っているとまではいかないけど、なんとなくそんな感じの答え方だったように見える。

「なあ……なんで急に、そんなこと聞くんだよ」

「え……?」

「お前、誰かに何か吹き込まれたのか?」

 レイヤの目は少しキリッとしていて、ちょっとだけ怖く見える。
 
「……そんなんじゃ、ないよ」

「じゃあなんで?」
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