【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
レイヤの想い人のことは……やっぱり聞けそうにない。
どうしても、それだけは聞けない。
「じゃあ、これで仲直りだな」
そんなレイヤの言葉に、私はいつの間にか頷いていた。
「ところでアユリ」
「うん……?」
「カナトと、話をさせてくれないか」
それはレイヤからの突然の提案だった。
「……え?」
「カナトにも誤解させてしまったから、改めてこちらから謝罪したい」
「それは、いいけど……」
カナトはなんて言うだろうか……。レイヤのこと快く思ってないみたいだから、拒否されそうだけど……。
「電話してくれないか、カナトに」
「うん……分かった」
スマホを取り出し、カナトに電話すると、カナトはすぐに電話に出た。
「もしもし、カナト?」
「姉ちゃん、どうした?」
カナトの声は落ち着いているように聞こえた。
「あのね、レイヤが……カナトと少し話したいって言ってるの。話してくれないかな」
お願いした私に、カナトは少し悩むような様子を見せると「……分かったよ」と答えた。
「ありがとう。ごめんね」
「いいから、早く代われよ」
レイヤに電話を代わると、レイヤは「カナト、俺だ」と話し始める。