【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
初めて顔を合わせた時のアユリは、ナチュラルなメイクにグレージュカラーのボブヘアで、年齢よりも大人な女性に見えた。
グレージュカラーの女性に出会ったのは初めてだったけど、とてもよく似合っていた。
「髪色、とてもよく似合っていますね」
アユリの髪色を褒めると、アユリは「ありがとうございます」と照れ臭そうに微笑んでいたのが印象的だった。
「あの、アユリさん……と、お呼びしても?」
「ええ、構いませんよ。 私も、レイヤさんとお呼びしても?」
「はい。構いませんよ」
初めての会話はなんだかぎこちなくて、いつになく緊張した。
本当はこの日、政略結婚なんて反対するつもりだった。食事会に行ったのだって、結婚を断るためだった。
でもアユリと出会った瞬間に、心を打たれてしまった俺は、断るどころか、アユリとの結婚を受け入れることを決めてしまった。
アユリだってきっと、断るつもりでここに来たんだろうと思ったけど、俺の意思は違っていた。
「アユリさんは、俺との結婚をどう思ってますか?」
なぜそう聞いてしまったのか、未だに分からない。でも今思えば、それは無意識だったかもしれない。
「私は、受け入れたいと思っています」