【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
アユリのその答えからは、迷いは見えなかった。
そうか、アユリは最初からこの結婚を受け入れるつもりだったんだということを、改めて思い知らせた瞬間でもあった。
「レイヤさんと結婚したら、私……あなたとなら幸せになれる気がしました」
出会ってから一時間もしないうちに、そう感じるなんて、アユリはすごいなって思った。
「それは、嬉しいです。……ありがとうございます」
なんだか照れ臭かった。そんなことを言われるなんて、想像もしてなかったから。
「こちらこそ、ありがとうございます」
可愛いらしい表情で微笑むアユリに、俺はときめきみたいなものを感じた。
運命とかそういうのではないのかもしれないけど、ビビッときた何かがあった。
「アユリさんは、俺との結婚と聞いて、イヤではなかったですか?」
俺がそう聞くと、アユリは「正直に言うと、最初はちょっとイヤでした」と正直に答えた。
だけどその後、「でも……レイヤさん、とてもいい人だから、結婚しようと思いました」と答えたのだった。
「……え?」
「だってレイヤさんは、私の髪色を褒めてくれたでしょ? それが、すごく嬉しかったの」
髪色を褒めただけで、結婚しようと思うものなのか。