【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


 でも結婚してること、アユリを愛していることを伝えたら、相手は分かってくれた。そして「ただ、この気持ちを伝えたかっただけだから」だと言ってくれていた。
 確かに最後に抱きしめてほしいと言われて、抱きしめてしまった俺にも、責任はある。 その人と仕事をするのは、最後だったからというのもあるし……。

 その女性は今の会社を退職して、海外に留学すると打ち明けてくれていて、仕事をするのがその日が最後だったから、どうしても伝えたかったんだと言っていた。
 だから俺も、それを聞いて抱きしめてしまった。だけどまさか、それをカナトに見られているとは思ってもなかった。
  
 ましてや、アユリにそれを伝えてしまうなんて……。全くの想定外だった。
 何より信用しない方がいいなんて言われるなんて、こればっかりは本当に参った。
 アユリもカナトの言うことを真に受けてしまっているのか、俺のことを愛しているとは言っていたけど、カナトの言うことを信じているような雰囲気を醸し出している。
 
 浮気なんてするはずがないのに、妻に信じてもらえないとなると、俺はどうするべきなのか……分からなくなっている。
 アユリに嫌われてしまうのも、時間の問題だろうか……。
< 66 / 134 >

この作品をシェア

pagetop