【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「このパスタ、とっても美味しいね」

 私が注文したベーコンたっぷりカルボナーラは、お店のイチオシメニューなんだとか。
 ベーコンにもしっかり味がついていて、とても美味しい。

「イチオシメニューなんだろ?」

「うん。……一口食べる?」

 レイヤは嬉しそうに微笑み、「じゃあ、アユリがあーんして」と言ってくる。

「え、あーんするの?」

「夫婦だし、別になんてことないだろ?」

「……はい、あーん」

 フォークにカルボナーラパスタをたっぷとまとわせ、レイヤの口の中へと運ぶ。

「美味いな」

「うん、美味しいよね」

 夫婦でこうやって外食をするのも、あとどのくるいあるんだろう。
 私はレイヤの妻だけど、レイヤには想い人がいる。 それを分かっていて一緒にいることは、とても辛いことだって思ってる。

「アユリ? どうした?」

「……ううん、何でもない。 ちょっと酔っちゃったみたい」

 私がそう言うと、レイヤは「大丈夫か?水もらう?」と優しく聞いてくる。

「うん。もらおうかな」

 レイヤはこんなにも優しいのに、思っているのは私じゃない。 こんなに辛いこと……きっとないだろうな。
 レイヤに思われている人が、羨ましい。
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