【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。
「……悪いけど、もう三分経ったから」
そしてカナトは、俺から立ち去ろうとした。そんなカナトの背中を、俺は引き止めた。
「俺たち、子供を作ろうと思ってる」
その言葉を聞いた瞬間、カナトの背中が一瞬だけ、震えたように見えた。
「アユリも、子供が欲しいと言ってくれてる。だから、俺たち子供を作ろうと思ってるんだ。……カナトも、甥っ子か姪っ子の顔、見たいだろ?」
「……勝手にすればいいんじゃないか。゙お義兄さん゙」
厭味ったらしくそう言葉を吐き、カナトは俺の前から立ち去っていった。
「……間違いない」
カナトのあの態度、あれは……アユリのことが好きな態度だ。
一人の女性として、カナトはアユリが好きなんだ……。だけど姉弟だから、カナトの恋は叶わない。
残念だけど、カナトの片思いは……。報われることはない。
だから俺をあんなに拒絶するんだ。俺がアユリと結婚して夫になったから、カナトは多分、それが気に入らないのだろう。
カナトはそんな虚しい人生を、ずっと過ごしてるのか……。可哀想だとは思うが、同情は出来そうにない。
でも……アユリには、こんなこと言えそうにない。言える訳は……ないな。
話せば多分、カナトを傷付ける。